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2020年06月18日

池の平の話

池の平の話

昔、昔の話です。

高根城に、敵兵が攻めて来た時のことです。

城主と家来は力の限り戦いましたが、落城も間近になりました。

城主のお姫様は「子供達だけでも逃がして、いつの日か仇を取らせたい」と
2人の子を連れて城を抜け出しました。

水窪川までたどり着いたものの、敵兵で溢れていました。

お姫様は、川の淵で1人の子供とはぐれてしまいました。

「この子の命だけは、何が何でも守らなけれは」お姫様と残った1人の子は
山をさまよい続けました。

もはやこれまでかと思った時、1軒の農家を見つけました。

お婆さんから水一杯分けてもらい、お姫様親子はようやく一息つく事が
できました。

池の平の話

こうしている間にも、敵兵はお姫様親子を捜しているに違いありません。

更に山奥に逃げる事にしました。

お姫様親子が農家を出て間もなく、敵兵が駆け込んできました。

「高根城のお姫様親子はどこだ。知っているなら隠し立てせずに正直に話せ」

敵兵に刀を突き付けられ、怒鳴られたお婆さんの震えは止まりません。

どうにか黙り通しましたが、一瞬、目を山の方に向けてしまいました。

敵兵は気配を察し「山奥に逃げたぞ」と叫ぶと一斉に駆け出しました。

お姫様親子は、山を登り詰め、池の平のくぼ地に腰を下ろしました。

一気に疲れが出たお姫様が微睡かけた時です。

不安に耐えきれなくなった子供が泣き出してしまいました。

泣き声はどんどん大きくなり、どんなにあやしても収まりません。

池の平の話

敵兵に気付かれたお姫様親子は、あっという間に敵兵に取り囲まれてしま
いました。

お姫様の子供だけは助けてほしいという命乞いも虚しく、2人とも池の平で
殺されてしまいました。

辺りは、親子の血で真っ赤に染まり、いつまでも残っていたそうです。

お姫様親子の無念の思いが募るためか、ほぼ7年ごとに池の平のくぼ地に
きれいな水が湧きだし、美しい池が出来上がるそうです。




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Posted by 鈴木@SHOPS案内人 at 21:11│Comments(0)★南浜名湖の民話
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