「絵本太功記 十段目 尼ヶ崎庵室の場」 後編

鈴木@SHOPS案内人

2016年06月30日 14:02



6月26日、新居地域センターで公演された「第37回湖西歌舞伎発表会」の様子を
お伝えしてます。


十次郎が出陣していくと、光秀が旅の僧に化けた久吉を追って登場します。

光秀は隠れているはずの久吉を槍で一突きしますが、意外にもその槍にかかったの
は母の皐月でした。



皐月は苦しい息の下で、主君を討った光秀を諫めます。

妻の操の「これ見給え、光秀殿」から「せめて母ごのご最期に、善心に立ち帰る
と、たった一言聞かしてたべ」と哀願に、浄瑠璃が<拝むわいのと手を合わし、
諌めつ、泣きつ一筋に、夫を思う恨み泣き>と重ねていく下りは、名場面として
よく知られています。



そこへ戦で重傷を負った十次郎が帰ってきて、苦しみながらも「親人、ここに御座
あっては危うし、危うし。一時も早く本国へ、サッ、早く」と促します。



皐月が「あれを聞いたか嫁女。その身の手傷は苦にもせず。極悪人の倅をば、
大事に思う孫が孝心。ヤイ光秀、子は不憫にはないか。可愛いとは思わぬやい」
と光秀を責めます。



進退窮まった光秀の前に、久吉とその部下の加藤正清(加藤清正)が現れますが

久吉は、襲いかかろうとする光秀に天王山において勝負を決しようと再会を約束し
別れていきます。



婚礼のめでたい席から、一転して悲劇で終わる結末。

強がる光秀の心中は如何に......

※取材協力:湖西歌舞伎保存会

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