どんげ橋と地蔵様 (村櫛町)

どんげ橋と地蔵様 (村櫛町)

村櫛町というのは、浜名湖の中につき出た半島である。
だから山から直ぐ海となって、平地が少ないので、大雨が降る
と水は山から一度に流れて川は全て荒い川となるのであった。

村櫛の町の中を流れるのに、山田川と言うのがあるが、この川
もそうで、川にかけてある、「どんげ橋」という橋は、いつも流さ
れていた。

「困ったな、又、流されたよ」「どうしたら、いいか」村の人達は、
流された橋を見て、度々なので困りはてていた。
するとその時通りかかったた旅の人が、「それは、昔からよく言
うのに、人柱を入れるとよいですよ」と教えた。

「人柱、生きた人間をかい。そんなむごい事は出来ないな」
「なら、生きた人間の代わりに、お地蔵様を入れたらどうです」
「なるほど」村の人達は相談して、その頃お墓の入口に立ってい
た石のお地蔵様を持って来て、橋を作るとき根元に埋めて作った。

するとそれからと言うもの、どんな大水でも、どんげ橋だけは、流
されることはなくなった。

「これは、よかったな」ところがである。

どんげ橋と地蔵様 (村櫛町)

ある日のこと、隣り村の堀江の人が、この橋を通って家に帰ると、
急に熱が出て、重い病気になってしまった。
「大変だ」家の人達はびっくりして、医者を呼んだり、薬を買って来
たりして手当てをしたが、どうにもよくならないのである。

「どうしたのだろう」「病名も分からない、変な病気だ」
本人も家族も困ってしまって、あるお寺の偉い坊さんの所へ行って、
「何か、祟りがあるのかも分かりません。是非占って見て下さい」
と頼んだ。

「よそよし、見てやる」和尚は、仏壇の前に座ると、丁寧に拝んで占っ
てくれた。
その結果、「これは、お地蔵様が祟っているな、しかも地の中の地蔵
様だ」「どこかで、地の中にお地蔵様を埋めた話を聞かないか」

家族のものは帰って来て、お地蔵様が埋めた話を、方々へ聞いて歩
いた。
その結果、村櫛の村で、橋の下に埋めた事を聞きだしたので、直ぐ
行って、「こう言う訳ですから、早速橋の下のお地蔵様を掘り出して
下さい。」と頼んだ。

「そりゃどうも、申し訳ないですな」
村櫛の人達も直ぐ、掘り出してくれた。
それでお地蔵様を持って来て、庭の程よい所に建てて祀ると、病気は
けろりと、治ったと言う事である。

だがその後、そんな祟りのある、お地蔵様を、人の家に置くのも嫌だか
らと、村櫛のお寺に移して、今も祀っていると。


※文献資料:遠州伝説集より



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