2024年11月05日
わらべ長者の話by長谷寺

大きな長谷観音で知られる長谷寺。
その長谷寺にまつわるお話です。
昔、身分の低い若い侍がいました。
身寄りもなく一人ぼっちで、将来に何の希望もありません。
そこで観音さまにすがろうと、長谷寺にやってきて、毎日毎日祈っていました。
やがて21日目の明け方のこと、夢の中に見知らぬ男が出てきて、「おまえには戒めの
心がなく、あれこれ申してけしからんが不憫に思う。暗闇の中でおまえの手に触れる
ものがあったら、決してそれを捨ててはならぬ」と言うと男を追い立てるのです。
男はあわてて寺を出ようとしましたが、大門の所でつまづいて倒れてしまいました。

起き上がろうとした手には、藁の束を握ってます。
「これはきっと観音さまが授けて下さった藁に違いない。
それにしても、あまりに情けない」と、思いながら歩いて行きました。
すると、一匹のアブが顔の前に飛んできました。
うるさいので捕まえて藁にくくりつけて歩いていると、長谷参りの親子が通りかかり
ました。
アブを欲しいと言うので与えると、その代わりにみかんを3個くれました。

男は藁一束がみかん3個になったと喜び、さらに歩いて行くと、今度は喉が渇いて
困っている旅の女に出逢いました。
男がみかんを与えると、お礼に絹の反物をくれたのです。
その夜泊まった宿で、下僕を連れた旅人の自慢の馬が、病気にかかり死んでしまい
ました。
男は、女にもらった反物と死んだ馬を交換したのです。
そして長谷寺に向かって、「どうぞ、馬を生き返らせて下さい」と念じたところ、
馬はゆっくり頭をもたげて起き上がったのです。

喜んだ男は、馬を京の都へ連れて行き、その後大きな財を得て、幸せに暮らしたと
いうことです。
これもすべて長谷観音の御利益に違いないと思った男は、改めて長谷の観音さまに
感謝し、前よりいっそう信心したのです。
※観音霊場・西国三十三所の昔話より
Posted by 鈴木@SHOPS案内人 at 12:26│Comments(0)
│西国三十三所観音霊場