いぼ観音と「はたごの池」
この岩山には、古くから観音様が祀られており、岩の窪みに溜まった水を疣に
つけるときれいに治るといわれています。
そのため、いつの頃からか「いぼ観音」と呼ばれるようになりました。
また、このいぼ観音の西に深い池があって、「はたごの池」と呼ばれていました。
池のほとりを下駄をはいて通ると、岩山に響いた下駄の音が水面に跳ね返って
池の中から機を織っているように聞こえたらからでしょう。
はたごの池にはこんな物語があります。
近くは龍潭寺の小僧が、和尚の言いつけで気賀に鉈を買いに行きました。
その帰り、池の中からあまりにも美しく機織の音が聞こえたので、ふいと覗いた
とたん、鉈を池の中に落としてしまいました。
小僧はそれを拾うために池の中に入ったまま何日も帰らず、三年の月日が流れ
ました。
そんなある日、小僧は鉈を持っていなくなった時の姿で帰ってきました。
和尚が驚いて尋ねると、「池の底に竜宮のような所があり、鉈を返してもらい
ました」と言うのでした。
「はたごの池」は今は埋め立てられてしまい、昔をしのぶことができません。